· 

著作権トピックス_2021年6月

2021年6月3日 人気アニメキャラクターの缶バッジ不正販売 著作権法違反容疑で逮捕

 

2021年6月7日 「はらぺこあおむし」になぞらえた風刺漫画に著作権侵害の指摘

 

2021年6月18日 江頭2:50、登場曲に著作権侵害の指摘

 

2021年6月23日 「ファスト映画」で初の逮捕者

 

 相変わらず著作権侵害に関する話題が多数報道されています。ここ数年、増加傾向にあったと思いますが、最近は本当に良く目にするようになりました。

 著作権に対する認知度、関心の高さの表れだと思います。

 

 また、著作権に限った話ではないのですが、注目すべき話題がありました。

 

2021年6月11日 改訂「コーポレートガバナンス・コード」に「知財ガバナンス」を追加

 

 金融庁と東京証券取引所が6月に改訂した「コーポレートガバナンス・コード」に、知的財産の活用などを促す内容が加わりました。これにより上場企業の経営層は、知財戦略に責任を負うことが求められるようになりました。

 

 コーポレートガバナンス・コードとは、「企業統治指針」と訳され、上場企業が守るべき企業統治の行動規範を表したものです。ヨーロッパ諸国やシンガポール、香港などでも定められていますが、日本版は「株主の権利・平等性の確保」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主との対話」の五つの基本原則で構成されています。

 

 今回の改訂で、「知的財産」に言及されているのは、次の2点です。

 

【原則3-1.情報開示の充実】の補充原則③

「上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資ついても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく体的に情報を開示・提供すべきである。」

 

【原則4-2.取締役会の役割・責務(2)】の補充原則②

「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。

 また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。」

 

 改訂の背景には、知的財産に関する情報が株価に影響し、また、知的財産の創出が企業価値に大きな影響を与えるという認識があると思われます。

 特許権の分野では当然のこととして、昨年からの「鬼滅の刃」ブームがもたらした莫大な経済効果に鑑みれば、著作権や商標権の分野でも影響の大きさは明白でしょう。また、種苗法の品種登録制度が改正されましたが、農業分野においても知的財産の重要性が増していると言えます。

 

 今回の改訂によって、上場企業の経営層は知的財産・知財戦略の重要性を否応なく意識することになるでしょう。これに伴い、著作権についても、権利の創出、確保、活用、防衛などの動きが、コンテンツ産業に限らず活性化するのではないかと期待しています。