パンフレット、ホームページ、コンピュータ・プログラム、CMなどの制作を外注したり、制作を請負ったりするときには、発注者と受注者の間で業務委託契約書を作成し、締結していると思います。
契約書には、制作物の仕様、納期、代金などを定めますが、これらの制作物には通常、著作物が含まれていますので、著作権の取扱いについて定めることも忘れてはなりません。
もし、これを定めていなかった場合、著作権法の規定がそのまま適用されますので、発注者または受注者の思惑に一致しない結果となり、トラブルになるリスクがあります。安易にひな型を利用しても、そのようなことが起こり得ます。
例えば、ホームページの制作を委託し、そこに写真を載せる場合を考えてみましょう。その写真は受注者が撮影したものだとします。
その写真の著作者は受注者であり、受注者が著作権を持ちます。たとえホームページが発注者に納品されたとしても、発注者はその写真を勝手に流用したり、加工したりすることはできません。そのようなことをすると、著作権者である受注者から著作権侵害で訴えられる可能性があります(反対に言うと、著作権者である受注者は訴えることができます)。
発注者の立場からすると、発注者自身が企画し、仕様を決定し、制作費用を負担しているのだから、制作物に関する権利は全て発注者に帰属する、と考えるのも無理はありません。
しかし、著作権法は、実際に創作的表現を行った人、すなわち受注者に自動的に権利を与えます。受注者の立場からすると、制作物を勝手に使われては困る、ということになります。ここにトラブルが発生する大半の原因があります。
発注者が、ホームページに掲載された写真等を自由に使いたいと考えるのであれば、
① 受注者から著作権を譲渡してもらう
② 受注者から著作権の利用許諾を得る
のどちらかの合意を得ておかなければなりません。
著作権契約が必要である所以は、ここにあります。
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